心の成長と細やかな身体感覚
Last Updated on 2020年6月16日 by グループ本部事務局
道場では、本質的・道義的な教育を徹底しています。
稽古中はもちろん、必要なことは道場訓にまとめて稽古の最後に全員で読みあげます。
その後、本質的・道義的な話を3分程度で子供の年齢にあった言葉でわかりやすく話します。
低学年でも本質的な内容をしっかりと理解して驚かせてくれる子供もおります。
■内観を高める
身体におきましてもただ運動をするのではなく、人間本来の動作(自然体)を教えています。
必要なことは、単なる反復練習ではなく「身体感覚」を深めることです。
このことを武道では「内観を高める」と言います。
心臓の鼓動、血液の流れ、重心位置、足裏と地面との感触など、細胞1つ1つに至るまで体がどうなっているのか、どう動いているのか、その存在そのものを感じる力です。
その中心は呼吸になりますから、呼吸のありようから稽古はスタートです。
この内観力が、心の強さや頭の良さ、運動能力の高さの根本です。
最近ブームになっている「マインドフルネス」も近しいものがあります。
「体操」とは読んで字のごとく身体を操ることです。
体を操ってはいけません。目指すべきは自然体です。
「体然」と言った方がいいかもしれません。
内観が低いと体を無視して、心の思い通りに支配しようとします。
これではパフォーマンスは上がりませんし、けがや病気が多くなってしまいます。
何よりも心に支配癖がついてしまいます。
特に現代は、TVやスマホの影響など人工的な刺激が外界に強いため内観が鈍くなっている方が多いようです。
そのため、体のありようを無視して体を思い通りに操ろうとしてしまうわけです。
うまくいかないと、体を叩いたり叱ったりしていますよね。
「体をいじめ抜く」など、内観の低い人が陥りやすい落とし穴です。
教育の失敗は、能力のみ高い人間を造ってしまうことです。
感性が鈍ければ、自分の行いがみえず迷惑や粗暴な振る舞いがやみません。
心が貧しければ、悪に心を痛めないため止まりません。
能力が低ければ迷惑の程度も低いですが、能力が高ければ迷惑レベルも上がってしまいます。
心の伴わない能力はかえって危険です。
[su_divider text=”top” style=”dotted”]
杉原政則 極真空手四段 極真会館グループ事務局長 極真会館東京本部長 多数の武道経験を持ち、文武両道の観点から学習道場も主催。武道を通じての青少年教育を研究し、地元小学校で定例で「空手通信」を発行。また経済分野においても武道のコラムを執筆中。 https://budo.tokyo/ |